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移動平均線(Moving average)

移動平均線は過去の一定期間のレート(一日の終値)の平均値をグラフ化したもので、その平均値を期間の最終取引日に記録する。例えば、21日移動平均線であれば最終取引日を含めてその日から21取引日さかのぼった期間の各日の終値を平均し、それを最終取引日の移動平均値とする。期間については21日、90日、200日を使用するのが一般的であるが、ひとによっては、或いはマーケットによってはこれとは違う物差しで移動平均を追うかもしれない。おそらく、いろいろな期間を適用しては試行錯誤を繰り返した結果、21・90・200の数字に落ちついたのであろう。なお、当サイトでは90日の代わりに89日を用いているが、これは単に89がフィボナッチ・ナンバーであるという拘りからそうしているだけである。移動平均算出期間を何日とするかについて別に決まったルールがあるわけではない。要は、短期間と中・長期間の線の組み合わせであれば何でもいいのだ。分析の結果最もレートの推移をうまく説明できるのであれば、例えば30日や80日を使っても問題はない。ただ、市場参加者の大半が注目している21,90(または89),200日線には留意する必要がある。当サイトで行なうテクニカル分析では21,89,200日線を使っている。

[実例]

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  • 21日移動平均線
  • 89日移動平均線
  • 200日移動平均線

移動平均はその性格上、どうしても後追い型になってしまう。21日移動平均は過去21日間の平均値を直近取引日に記録するのであるから、はじき出された数値は過去21日間の平均的な相場の「趨勢」を表したもの、つまり過去の相場の残影を引きずっていると言える。だから、21日間における例えば最後の3日のトレンドが正確に線に反映されているとは言えない。直近の値動きがすぐに線に反映されないため、相場の流れをあとから追認することになってしまう。これが21日ではなくもっと長い期間の200日であれば、線の変化に気づくのはかなり遅れる羽目になる。しかし、たとえ過去の残影であっても、一日二日の変動を気に留めない市場参加者にとって相場をトレンドとして捉えることの意義は大きい。

短/中・長期の移動平均線がその期間のトレンドを表していると解釈すれば、これらの線が交差するときは相場の直近の流れがそれより過去から引きずってきた相場の流れと相違している、すなわち相場に変化が現れ始めているとの解釈につながろう。中・長期の線より上にあった短期の線がその下側に回れば、それは相場が今までとは「違う」のである。中・長期のトレンドとは違う相場のリズムが短期の線に現れた結果両者がクロスしたと考えれば、そこにトレンドが変わったという解釈が成立してもおかしくない。

さて、図-1は1987年7月から同年12月までのドル・円相場日足。150円を越えたドルがその後大きく値を崩している様子が見て取れる。ここで注目すべきところは、21日線89日線を上から下へ突き抜けた現象(赤い点線○印)。これがトレンドの変化を事後確認する移動平均線のクロスである。つまり、相場が(ドルの)強気から弱気へと変調するシグナルと理解される。二つの線が交差してから相場は一旦反発上昇したものの、のちに再度急落したことから結果的に線のクロスは正しいシグナルを発していたことが分かろう。また、150円を越えて上昇基調にあった21日線が200日線を突き抜けられなかった点も(印)、相場がもう一段上昇するほどのエネルギーがなかった証として注目すべき。さらに、日々線が200日線に阻止され(印)反転下落したところも興味深い。移動平均線は単にトレンドを知るためのツールだけではなく、それ自体が相場のサポートやレジスタンスになることもしばしば観察される。

以上が、相場が見事に型にはまった例。しかし、どんなテクニカル分析・ツールにも欠点があるように、移動平均線にも弱みがある。それは、トレンド転換のシグナルを発するタイミングが遅いという点だ。図-1では、21日線が89日線を下抜いたのが相場がすでに10円近くも落ちてからである。相場の動きを移動平均線という物差しだけで測っていれば、これでは余りに遅すぎる。それどころか、線がクロスしてからもしドルを売っていれば、その後のドル反転局面では穏やかな日々を過ごせなかったに違いない。幸い、この例ではシグナルの正しさがあとから証明されたが、いつもこのような好結果をもたらすとは限らない。次に弱点が露呈した例を見てみよう。


図-2のチャート、ドルが127円台から112円台まで一気に約15円も急落。この急激な相場の変化についていこうと21日線も角度を変えて下降し始めたが、哀しいかな、遅行指標という特質が如実に現れてしまった。89日線とクロスした時点は、なんと相場のほぼ底値圏であった。このあと相場は一時的に110円台を見たが、これを最後に147円台まで上昇して行ったのである(図-3)。相場の変わりようがあまりに急だったため、移動平均が変調についていけなかった。そんな中で、112円台からのドル反転が200日線に阻まれたのが、このツールの威力を発揮できたという意味で唯一の救いだろうか。シグナルを全面的に信用すると痛い目に遭うこともあるという一例だ。


シグナルの点灯が遅いという欠陥を補うために、ではもっと短い期間の平均を求めてトレンドの判断を下すというやり方が良いかと言えば、必ずしもそうではない。確かに21日線よりは5日線の方が期近の値動きに対する感応度は高い。だが、相場がもみ合い局面に突入した場合、反応が早すぎかえって判断に困ってしまうことも多々ある。図-4は5日線89日線の組み合わせだが、日々線の動きに敏感に反応した結果、5日線が89日線を何度もまたぎ判断に支障をきたしている。このもみ合いの最後に来るに違いない正しいクロスでさえも、そのシグナルの真実性に自信が持てなくなるであろう。結局、移動平均算出期間の長さは相場の状態によって長所・短所を合わせ持つ。


移動平均線は線のクロスを重点的に注目するだけではなく,相場がもみ合い状態から「放れ」へと移行する早い段階で鮮明なシグナルを発することにも注意を向ける必要がある。左の二つのチャート,黄色い円で囲まれた部分に放れ現象が見られる。21,89,200の三本の移動平均線が,相場のもみ合いを経るうちに狭いレンジに接近している。長短の移動平均値は,相場の停滞期間が長ければ長いほど同じ値に収束しようとする。つまり,相場の閉息感がこれらの線に表れてくる。しかし,相場はいつまでもおとなしくはしていない。はけ口を求めるように動き出す。このとき,当然のことながら日々線がまず移動平均線から放れようとし,次に短期の移動平均線が角度をつけて長期の移動平均線から遠ざかる。相場に加速度がつきはじめて来た証拠だ。もみ合い局面が続いた後にこのような現象が観察されれば,その後相場はかなり高い確率で大きく動いていく。「もみ合いは相場が大きく動き出す前のエネルギー充填期間である」とはディーラーが好んで使う表現だが,実戦経験から得たこの教訓とも合致している。